日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題5

課題5-a画像 課題5-b画像
課題5-c画像 課題5-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
C

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
線毛上皮を特徴とする嚢胞壁:線毛上皮は上顎洞 などの被覆上皮に由来すると考えられる。これらの組織像は上顎に発生し た濾胞性歯嚢胞の嚢胞壁から撮影したが、鼻口蓋管嚢胞でも類似の組織所 見を示す。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:上顎に発生した嚢胞
写真上方が嚢胞腔。嚢胞壁は薄い上皮組織と線維化した結合織で構 成されており、炎症反応は認められない。上皮細胞の一部は膨脹し た細胞質を有しており、嚢胞腔に面した細胞膜から線毛を発達させ ている。
B:上顎に発生した嚢胞
Aと同様の組織所見を示す。上皮下の結合織では血管腔の拡張と軽 度の炎症細胞の浸潤がみられる。
C:原始性嚢胞(あるいは含歯性嚢胞)
嚢胞壁は3−4層の上皮細胞と線維性の結合織で構成されている。上皮組織では、 嚢胞腔に面して角化傾向を示す薄い層が存在し、線毛上皮は認められない。こ の組織像から嚢胞壁と診断されるが、確定診断には臨床所見が不可欠である。
D:上顎に発生した嚢胞
嚢胞腔に面して線毛上皮が配列している。ほぼ中央部(*)では、 粘液分泌を特徴付ける杯細胞がみられる。結合織では、炎症反応は 認められず、毛細血管が比較的多い幼若な肉芽組織の特徴を残って おり、線維化は進行していない。

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