日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題62

課題62-a画像 課題62-b画像
課題62-c画像 課題62-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
A

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
一連の鑑別診断課題の最後に、歯原性腫瘍 (エナメル上皮腫)と唾液腺腫瘍(多形性腺腫)を判別する。エナメル上皮腫では、 増殖する腫瘍胞巣の先端が蕾状の歯胚と類似している。多形性腺腫の多彩な 間質様変化も再確認する。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:エナメル上皮腫
連結した腫瘍胞巣では細い索状の部分と蕾状に膨らんだ部分とが見られ、 線維性の間質に囲まれた島状の腫瘍胞巣では実質嚢胞が生じている。 上皮(腫瘍)細胞に接する間質では、基質産生にともない線維束が 不明瞭となり、血管腔が識別しやすくなっている。
B:多形性腺腫
写真中央部は硝子化した間質様変化を示しており、腫瘍細胞による胞巣構造は 不明瞭である。ただし、腫瘍細胞が造る小腺腔が認められる。硝子化を呈する 部位では、胞巣から分離した腫瘍細胞が基質中に埋め込まれている。
C:多形性腺腫
索状の腫瘍胞巣が明瞭で、一部に蕾状の構造も見られる。間質も線維化が 特徴である。分泌物を含む腺腔や、腫瘍細胞が間質に移行するような所見 が診断根拠となる。
D:多形性腺腫
この写真では、小腔に細胞が埋め込まれた軟骨様の特徴が明らかであり、 粘液腫様の部分も混じっている。細胞核には異型は認められない。

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