日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題61

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
4枚の組織像では、いずれも退行性病変が 認められる。A〜Cでは細胞組織の死(壊死)が特徴である。Dでは、放射線照射 により筋組織が萎縮・変性に陥っている。異なる1枚を選ぶとすると、壊死の特徴 が見られないDとなる。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:腐骨(骨髄炎)
層板状の骨組織では骨細胞の核は骨小腔内に認めず、骨辺縁では 破骨細胞がみられ不規則な波状の吸収窩を形成しているが、骨芽 細胞は消失している。骨髄腔内では好中球・リンパ球を主体とした 炎症細胞が充満している。
B:腫瘍細胞の壊死
大小の癌胞巣からなる扁平上皮癌が認められ、胞巣辺縁では濃染した核 を示す癌細胞が観察される。その内部では変性、壊死に陥った癌細胞と 好中球・異物巨細胞がみられる。間質にも炎症細胞が著明に浸潤している。
C:結核結節
リンパ球浸潤によって被包された結節性の病変で、結節の中心部には 乾酪壊死が生じている。壊死部とリンパ球浸潤層に挟まれて、 類上皮細胞と巨細胞が集積している。
D:線維化
舌癌治療で放射線照射が施された後の舌筋組織。治療が行われた がん患者から採取された検体である。筋線維束の萎縮と膠原線維の 増生・硝子化を特徴とする。

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