日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題60

課題60-a画像 課題60-b画像
課題60-c画像 課題60-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
歯原性腫瘍と唾液腺腫瘍の鑑別: 索状の胞巣構造を示すものや腺管様の構造を示す写真が提示されている。 歯原性腫瘍の組織像のバリエーションを整理し、腺様嚢胞癌と鑑別をする。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:腺様歯原性腫瘍(腺腫様歯原性腫瘍)
立方状上皮により裏打ちされた多数の腺管様構造を認め、その内腔には好酸性 物質がみられる。腺管の周囲では紡錘形を示す腫瘍細胞がシート状に増殖している。 写真左には骨様の硬組織が形成されている。
B:エナメル上皮腫
立方状ないし紡錘形をした細胞が索状の腫瘍胞巣を形成している。 胞巣の先端では歯提に類似した膨瘤が認められる。間質では浮腫状を呈し、 拡張した毛細血管が認められる。炎症細胞の浸潤は乏しい。
C:エナメル上皮線維肉腫
濃染核を示す立方状の細胞が索状の胞巣を形成し、歯提あるいはエナメル器様の 構造が観察される。胞巣周囲では粘液様基質が富み、間葉系細胞は癌化し、核腫大、 核の大小不同等の強い核異型を示す。
D:腺様嚢胞癌
偽嚢胞を形成した癌胞巣や、索状の癌胞巣が増生している。これらの胞巣は 濃染核を示す核/細胞質比の増大した癌細胞により構成されている。間質は 線維性結合織で一部に硝子化が見られ、炎症細胞浸潤は乏しい。

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