日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題57

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
腺癌(腺様嚢胞癌)と扁平上皮癌の鑑別: いずれの症例でも上皮下結合織に癌細胞浸潤・増殖を認め、臨床症状として 硬結を触れる。腺管や嚢胞形成を示す腺癌(腺様嚢胞癌)と角化傾向が著明 な扁平上皮癌を区別する。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:腺癌
表層では一部の上皮釘脚に異型上皮を認めるが、重層扁平上皮全体には 癌化はみられない。上皮下結合織から小型の胞巣が多数増生し、その内部 では偽嚢胞が形成されている。間質では軽度の炎症細胞の浸潤を認める。
B:腺癌
結合織の深部から被蓋上皮に向かって癌胞巣が増殖、接合している部分 がみられる。癌細胞は濃染した類円形核を示し、一部で好酸性細胞質を 有した細胞も観察される。胞巣内では偽嚢胞や腺管が形成されている。
C:腺癌
Aとほぼ同様の組織所見で、一部に角化球形成を示す重層扁平上皮に 覆われている。上皮下にはヘマトキシリンに濃染する核をもつ細胞が小・中型 の胞巣を多数形成し、胞巣内では腺管あるいは偽嚢胞を形成している。
D:扁平上皮癌
癌化を示さない重層扁平上皮の直下に癌胞巣が浸潤・増生している。 癌胞巣では細胞内角化や癌真珠が認められる。癌胞巣の周囲では強い 炎症細胞浸潤をともなっている。

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