日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題55

課題55-a画像 課題55-b画像
課題55-c画像 課題55-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
上皮内癌(上皮異形成):口腔粘膜上皮 は絶えず外来刺激を受けているため、それらの上皮では様々な変化が生じている。 上皮釘脚の形態や増殖している細胞について見極め、腫瘍性の変化あるいは 炎症による反応性の変化であるかを判定する。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:上皮内癌
重層扁平上皮では有棘層の肥厚と上皮釘脚の涙滴状増殖がみられる。 上皮層の下側2/3では類円形核を示し、核/細胞質比の増大した 基底細胞様細胞の異常な増殖を認める。間質ではリンパ球が浸潤している。
B:上皮内癌
上皮層の上下で核の染色性が顕著に異なっている。上皮下方では 基底細胞様細胞が増殖、細胞密度も高まり、上皮釘脚は涙滴状を 呈している。上皮下ではリンパ球が浸潤し、うっ血を示す血管が上皮表層 の近傍に認められる。
C:上皮内癌
上皮層の肥厚は目立たないが、異型を示す基底細胞様細胞が多層化している。 上皮釘脚は涙滴状を示し、上皮下では拡張とうっ血を示す毛細血管が目立つ。 臨床所見では、紅板症と診断されていた。
D:炎症性肉芽組織
重層扁平上皮は索状に伸長する上皮釘脚を認め、写真左の表層では 上皮欠損と変性・壊死物の堆積(潰瘍)、その下方には炎症細胞浸潤 をともなった肉芽組織の形成がみられる。創傷治癒に向かう上皮では 増殖活性も高まり、一見すると癌化を疑わせることもある。

問題を表示    次の課題


Copyright(c) 2005 NDU Pathology