日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題53

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
唾液腺の腫瘍と炎症を鑑別する: 4枚とも唾液腺由来の病変で腺管構造を認める。うち3つが腫瘍性病変で、 残りは腺房が消失にともない導管が増殖したように観察される唾液腺炎である。 導管の比較だけではなく、その周囲組織の状態をよく観察する。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:腺癌(リンパ節転移)
核/細胞質比の増大とヘマトキシリンに濃染する核を示す癌細胞が胞巣を形成、 増殖している。腺管形成が多数認められる。胞巣周囲にはリンパ球が浸潤している。 その外側の脂肪結合織内にも癌胞巣が増殖している。
B:腺様嚢胞癌
類円形の核を示し、細胞質に乏しい細胞が大小の癌胞巣を形成、 密に増殖している。一部の胞巣では好酸性分泌物を貯めた腺管と 円形の空隙として見える偽嚢胞を形成している。間質は浮腫状で 細胞成分は少ない。
C:多形性腺腫
2層性の腺管形成を示す腫瘍胞巣が索状に増殖している。 好酸性の分泌物を入れている腺管が散見される。間質様変化として、 細胞成分に乏しいエオジン好染の硝子化が著明である。腫瘍間質を 特定することは難しいが、少数の拡張した小血管が観察される。
D:慢性硬化性唾液腺炎
腺房の著しい消失を認め、2層性の導管が残存している。導管周囲では 炎症細胞浸潤をともなった膠原線維の増生を認める。拡張とうっ血を示す 血管と脂肪細胞も目立っている。

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