日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題51

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
B

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
歯原性腫瘍(エナメル上皮腫)と唾液腺腫瘍 (多形性腺腫)の鑑別。索状型のエナメル上皮腫では、腫瘍細胞に囲まれた間質 で変性や嚢胞化を生じている。多形性腺腫の腫瘍胞巣は線維性被膜に囲まれており、 腫瘍実質での間質様変化が捉えられる。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:エナメル上皮腫
索状型で間質嚢胞を特徴とする。連続した腫瘍実質の一部では、 星状細胞様の特徴がみられる。腫瘍実質に囲まれた間質では、 血管腔は一部で残っているが、細線維を残して空隙として観察される。 周囲の線維性被膜との境界は平坦であるが、被膜の一部にも滲出物が浸透している。
B:多形性腺腫
ほぼ均一な腫瘍細胞が充実性に増殖した部分と、粘液腫様あるいは硝子化を ともなう間質反応がモザイク状に混在している。周囲はコラーゲン線維によって 被包されている。
C:エナメル上皮腫
索状型で実質嚢胞(*)をともなう。腫瘍胞巣の周辺には背の高い細胞が 一層並んでおり、胞巣内部の細胞間隙が広がった星状細胞様の構造が 明瞭である。線維性被膜に向けて腫瘍細胞が突起を伸ばして入り込んで いるが、この突起先端も丸みを帯びている。
D:エナメル上皮腫
索状型で間質嚢胞をともなっている。この症例では、胞巣周辺の一層の 細胞配列が顕著である。胞巣内部に飛び石のように散在しているのは間質 であり、組織液が貯留した空隙としてみえる。線維性被膜との境界では、 腫瘍細胞の基底膜が拡張して無構造にみえる領域(*)もみられる。

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