日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題45

課題45-a画像 課題45-b画像
課題45-c画像 課題45-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
歯原性腫瘍と扁平上皮癌:4枚の組織像は 索状に増殖する腫瘍胞巣を比べている。腫瘍細胞の形状から歯原性腫瘍と 扁平上皮癌とを区別する。エナメル上皮腫(AとC)では扁平上皮化生を示し、 扁平上皮癌との鑑別に注意する。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:エナメル上皮腫(棘細胞型)
索状の増殖を示す腫瘍胞巣を認め、その内部では紡錘形や角化を示す 棘細胞様の細胞がみられる。胞巣の辺縁には濃染核を示す円柱状あるい は立方状の細胞が配列している。間質では嚢胞形成を認める。
B:エナメル上皮線維腫
写真左には歯髄様の結合織が増生し、その内部に歯堤様の上皮索を認める。 同様の上皮索が線維性組織内にも増生している。上皮と間葉の両成分が 腫瘍化している。写真中央には層板構造を示す骨組織を認める。
C:エナメル上皮腫(棘細胞型)
Aの組織像に類似している。腫瘍胞巣は索状に増生し、先端部では歯堤を 思わせる膨隆がみられる。胞巣内部では腫瘍細胞が角化変性を示している。 間質は浮腫状で、細胞成分は乏しく、血管腔が浮遊してみられる。
D:扁平上皮癌
濃染核、核腫大、核/細胞質 比の増大を示す癌細胞が索状の胞巣を形成、 増殖している。一部の癌細胞では角化を示している。間質では多数の毛細血管が 認められ、それらには拡張とうっ血を認める。

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