日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題44

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
BあるいはA

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
腺管を形成する腫瘍組織(悪性2例と良性1例) と扁平上皮癌を鑑別する。見方を変えると悪性像と良性像との違いでも区別が出来る。 どちらの問題が難解か?

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:多形性腺腫
エオジン好性で無構造な基質内(硝子化)に、紡錘形あるいは類円形 の腫瘍細胞が索状の胞巣を形成し、胞巣から離れて孤立する細胞も 認められる。胞巣内には小型の腺管構造が観察される。
B:扁平上皮癌
癌細胞は境界不明瞭な胞巣構造を形成している。個々の細胞では角化傾向と 細胞間橋を認める。間質では循環障害にともなってエオジン好性の滲出物が 貯留している。硝子化と診断してはいけない。
C:腺様嚢胞癌
線維性結合織内に島状や索状の胞巣構造が観察される。胞巣内に好酸性の 分泌物を入れた拡張した腺管や変性物を含んだ偽嚢胞がみられる。多形性腺腫 との鑑別が必要で、篩状構造が認められる。
D:粘表皮癌
上皮脚に連続して唾液腺導管が下方へ伸び、その周囲に癌胞巣を認める。 被膜形成はみられず、嚢胞状に拡張した腺管と癌細胞が充実性に増殖している。 白く抜けた細胞(粘液産生細胞)が観察される。

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