日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題42

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
A

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
歯原性腫瘍(エナメル上皮腫) と唾液腺腫瘍の鑑別。多形性腺腫と腺様嚢胞癌における腺管腔と エナメル上皮腫の嚢胞形成を見分ける。腫瘍細胞が充実性に 増殖している領域では、唾液腺由来と歯原性由来を判別することが 難しい場合にも遭遇する。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:エナメル上皮腫
濾胞型で実質嚢胞を形成している。各胞巣の周辺を縁取る エナメル上皮様の細胞配列を捉えると、鑑別診断は容易。 腫瘍は線維性の被膜で境界されているが、腫瘍細胞は細い索状に 突起を伸ばしている。小さな腫瘍胞巣が線維組織に紛れ込んでいると、 摘出後の局所再発の原因ともなる。
B:多形性腺腫
腺腔形成をともなう腫瘍胞巣と硝子化した間質反応がみられる。 腫瘍細胞の核はほぼ均一で異型は認められない。
C:多形性腺腫
一見、エナメル上皮腫の星状細胞様の構造と見誤りやすいのは、 粘液腫様の変化に相当する。腫瘍細胞の集落では腺腔形成も明瞭である。
D:腺様嚢胞癌
篩状構造の特徴が明瞭な癌胞巣が末梢神経束の周囲 および内部にまで浸潤している。癌胞巣は線維性の間質に 取り囲まれている(臨床的には線維成分が増加すると硬く感じられる) が、無数の小さな癌胞巣が線維組織内に散らばっている。

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