日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題40

課題40-a画像 課題40-b画像
課題40-c画像 課題40-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
いずれの組織像でも角質球が認められる。 舌に発症した癌真珠をともなう高分化型の扁平上皮癌では、癌胞巣が筋層に 達しており、肉芽形成をともないながら筋組織を破壊して浸潤している。 多形性腺腫では、細胞異型がなく、腺腔形成が診断根拠となる。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:扁平上皮癌
島状に散在しているのが癌胞巣で、胞巣周辺の癌細胞は濃染した核を有しており、 胞巣中央部に向かうと有棘細胞の特徴を示す。一部の癌胞巣では、同心円状の 角化層(癌真珠)が明らかに認められる。エオジンで好染する細胞質をもつ筋細胞 (左側では縦に走行しており、中央部では横断された楕円形を呈する)を区別しよう。
B:扁平上皮癌
組織所見はAと同様。写真中央では、線維性組織と血管腔がみられる。 元の筋組織では、円形あるいは楕円形の癌胞巣が入り込んでおり、 筋細胞が容積を減じている(萎縮)。
C:扁平上皮癌
組織所見はAと同様。癌真珠をともなう癌胞巣が増生している。 腫瘍間質として、萎縮した筋細胞を巻き込んで、炎症性細胞を含む 肉芽組織がみられる。
D:腺腫(多形性腺腫)
中央部の腫瘍胞巣では、腫瘍細胞が扁平上皮化して、角化球を想わせる構造も示す。 ただし、右側の腫瘍胞巣では、典型的な腺腔が認められ、腺由来の腫瘍で あることがわかる。腫瘍細胞には異型を認めないことから、良性腫瘍(腺腫) と診断しよう。

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