日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題32

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
C

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
鑑別点として、良性腫瘍(神経鞘腫) と悪性腫瘍(扁平上皮癌と骨肉腫)。扁平上皮癌は上皮性悪性腫瘍(癌腫) であり、口腔癌のうちで最も発症頻度が高い。神経鞘腫の組織像では、 特徴的な柵状配列を示しており、細胞異型と見誤らないことが大切である。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:扁平上皮癌(悪性上皮性腫瘍、癌腫)
細胞核のサイズや染色性が不規則な癌細胞が小さな集団をなして散在している。 右端には筋組織が認められ、間質(血管結合織)では炎症性細胞の浸潤も強い。 悪性腫瘍の診断根拠となる細胞異型の特徴をよく理解しよう。
B:扁平上皮癌
筋細胞を圧迫するように大小不揃いの扁平上皮に似た癌細胞が増生している。 細胞核を丹念に調べていくと、核腫大、核小体の明瞭化、核/細胞質の比率の 増大、異常分裂像などの異型像の特徴を理解することができる。
C:神経鞘腫
細胞核が間隔を置いて互いに向き合うように並んでおり、エオジン好染の細胞質 が大きく広がってみえる。細胞核の大きさや染色性はほぼ均一で、"きたない" 感じを受けないことを確認しよう。
D:非上皮性悪性腫瘍(骨肉腫)
エオジン好性の物質に埋まるように異型性の強い癌細胞が増生している。個々 の癌細胞の配列に注目すると、上皮細胞のような結合をもって胞巣を構築して いないことから、非上皮性悪性腫瘍を疑う。次に、エオジン好性の物質が骨基質 に相当することに気付くと、骨肉腫の診断にいたる。

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