日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題29

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
4枚の組織像では、細胞質が明るく抜けて 見える細胞集団が目立っている。粘表皮癌の粘液産生細胞とマクロファージの 集団(黄色腫)とを鑑別する。粘表皮癌では粘液産生を示す腫瘍細胞ととも に扁平上皮様の腫瘍細胞で構成されている。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:粘表皮癌
細胞質が明るく抜けてみえる癌細胞が胞巣を構築しており、 一部で扁平上皮様の特徴もみられる。癌胞巣の内部には、 細い間質が網目状に発達している。右側では、癌胞巣との境 界をなす線維性被膜をしめすが、明るい細胞質をもつ癌細胞が 被膜に侵入しているような所見(*)も認められる。
B:粘表皮癌
Aの所見に加えて、粘液産生細胞の集落(その中心部では 分泌物を貯めた腺腔)がみられる。間質の血管腔(*)と線維配列も識別しよう。
C:粘表皮癌
粘液産生細胞が大きな集落をなしており、その周辺では濃縮した核 をもつ小型の癌細胞と大型の棘細胞様の癌細胞が観察できる。 棘細胞様の癌細胞では、分裂像や明瞭な核小体を複数含む細胞もみられる。
D:貪食細胞が集積した黄色腫
臨床的に黄色の粘膜病変として気付く。粘膜上皮脚の直下に 大型の細胞質をもつ貪食細胞が集まっている。細胞質は細顆 粒状を呈する。上皮組織が正常の分化傾向(基底細胞と 有棘細胞)を保っており、細胞異型を示さないことに注目しよう。

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