日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題28

課題28-a画像 課題28-b画像
課題28-c画像 課題28-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
骨組織に浸潤した癌胞巣と炎症性 病変の鑑別:いずれの組織像も顎骨の骨梁を含んでいる。既存の骨梁は 吸収されており、その原因として悪性腫瘍の顎骨内浸潤と炎症(骨髄炎) を区別する。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:癌浸潤(扁平上皮癌)
層板状の骨組織の表面には破骨細胞が並んで吸収窩を形成している。 骨周囲では、炎症細胞浸潤をともなって癌細胞が浸潤している。この拡大 では診断が困難かも知れないが、有棘細胞様の特徴が認められる。
B:扁平上皮癌
写真左の太い骨組織は皮質骨で、細い骨梁は線維性結合織 からなる外骨膜下に形成された反応性の線維骨である。これら 骨組織を破壊しながら、癌真珠を示す大小の癌胞巣が浸潤 している。
C:腺様嚢胞癌(悪性腫瘍の顎骨内浸潤)
濃染核を示す癌細胞が胞巣構造を形成、浸潤・増生している。 胞巣内では篩状構造を示し、一部では好酸性細胞質を示す癌 細胞が腺管を形成している。間質は線維組織からなり、写真下 には層板状の骨組織を認める。
D:骨髄炎
不規則な形態を示す骨組織が認められ、その骨辺縁部は波状を 呈し、破骨細胞が出現している。骨髄腔では骨髄組織は消失、 多数の多核巨細胞と炎症細胞浸潤をともなった線維性組織が 増生している。

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