日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題23

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課題23-c画像 課題23-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
扁平上皮癌と炎症性肉芽組織の鑑別。 扁平上皮癌は実質と間質で構成されており、間質はリンパ球浸潤をともなう肉芽 組織である。癌胞巣を構成する癌細胞の異型と、癌胞巣を境界する肉芽組織 を判別する。特に、癌胞巣が増殖して、間質が非常に狭くなっていることもある。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:扁平上皮癌
癌細胞が密に増殖しており、細胞分裂像も多数認められる。角化傾向は 強くないが、棘細胞様の特徴から扁平上皮癌(有棘細胞癌)を診断しよう。 写真中央では血管腔が明瞭に認められ、狭い間質が癌胞巣を囲んで 蜂巣状を呈している。
B:扁平上皮癌
組織所見はAと同様。比較的大きな血管腔と線維性の細い間質が癌胞巣 を取り巻いている。癌細胞の大小不同、細胞核の不揃いに注目しよう。
C:扁平上皮癌
細胞質や核の大きさ、染色性が不揃いで、周囲の間質ではリンパ球の浸潤を ともなっている。癌細胞は一部で細胞間橋を残しているが、癌細胞同士の接着 は弱まり、細胞間の水腫様の変化も目立っている。
D:炎症性肉芽組織
血管内皮細胞が目立っており、好中球、リンパ球、形質細胞を含む炎症性細胞 浸潤をともなっている。臨床においても、病理診断においても癌と見誤らないことが 大切。

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