日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題21

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
B

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
炎症細胞浸潤を伴った肉芽組織と形質 細胞様にみえる腫瘍細胞の増殖(多形性腺腫)の違いを見極める。鑑別点として、 肉芽組織では血管腔と多彩な細胞集積が特徴であるが、多形性腺腫では腺管 構造も認められる。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:肉芽組織
好酸性を示す筋組織がみられ、大型細胞が多数見られることから癌の浸潤 を疑うかもしれない。これらの大型細胞は炎症により腫大した内皮細胞で血管 を形成している。周囲にリンパ球が浸潤している。
B:多形性腺腫
腫瘍細胞が充実性に増殖を示している。胞巣内には好酸性分泌物を入れる 腺管構造を認め、その周囲に形質細胞様や類円形核を示す腫瘍細胞が 増殖している。炎症細胞浸潤と診断してはいけない。
C:肉芽組織
大型の細胞核をもつ内皮細胞、分葉核を特徴とする好中球、および細胞質内 で偏在する核をもつ形質細胞が観察される。細胞間隙の拡大は循環障害により 浮腫状の変化を呈しているためである。
D:肉芽組織
1層の内皮細胞が大小の血管腔の内側を覆っている。その腔内にエオジン好性 で無構造な血栓様の組織が認められる。周囲には好酸球、好中球に混じって、 リンパ球や線維芽細胞が観察される。

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