日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題19

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
C

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
粘膜病変と唾液腺腫瘍(腺様嚢胞癌)の鑑別。 口腔粘膜病変のうちで上皮層の肥厚にともなう白色病変に遭遇することが多いが、 乳頭状あるいは隆起状の形状、部分的な潰瘍や上皮の菲薄化による色調の違い にも注意する必要がある。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:乳頭腫
上皮の乳頭状増殖が特徴であり、細胞異型は認められない。潰瘍形成も伴って おらず、臨床所見と異なる。上皮に囲まれた島状にみえる部分は、間質(血管結 合織)に相当する。
B:扁平上皮癌
口腔粘膜から結合織に進行した癌病巣。癌胞巣の増生と線維性の間質によって 硬結を触れる。粘膜表層の一部で潰瘍形成をともなっている。癌浸潤の先端では、 生体の側での防御反応としてリンパ球浸潤が起こっている。
C:腺様嚢胞癌
典型的な篩状構造と線維性被膜を越えた癌胞巣の浸潤がみられる。 この病変では、粘膜の白色病変はともなわない。
D:扁平苔癬あるいは粘膜の白色病変
有棘細胞層の肥厚と上皮下の結合織で円形細胞(主にリンパ球)の帯状の浸潤が 見られる。基底膜の破壊などは未だ起こっていない。この組織像では、潰瘍形成や 硬結をもたらす所見はみられない。

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