日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題18

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
上皮内癌と粘膜病変の鑑別:臨床では粘膜の 白色病変として捉えられる。組織学的には上皮釘脚の形態およびその部を構成して いる細胞の異型性の有無を判定する必要があり、上皮異形成あるいは上皮内癌を 早期に診断することが予後にとても重要だ。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:上皮内癌
上皮組織の肥厚がみられ、上皮層下側1/3では核の濃染性、配列不整、 多層化を示す基底細胞様細胞が観察され、核分裂像も認められる。 上皮釘脚が涙滴状の形態を示している。上皮下結合織では炎症細胞 浸潤は乏しい。
B:上皮内癌
上皮直下に帯状に浸潤する著しいリンパ球浸潤を認める。上皮組織の表層 では錯角化層を認めるが、下層では基底細胞の配列不整がみられ、腫瘍性 の増殖を反映して上皮釘脚は涙滴状に増生している。
C:上皮内癌
上皮層は染色性の違いにより上下で層分けがされている。上層では角化が進み、 細胞が扁平化している。下層では核腫大、細胞質内角化を示す異型細胞が出現 している。上皮直下にはリンパ球が浸潤している。
D:扁平苔癬
上皮層内にはリンパ球が浸潤、基底細胞の配列が乱れている。一部に基底層 で液状変性が観察される。異型細胞はみられず、上皮釘脚は鋸歯状を呈して いる。上皮直下では帯状のリンパ球が浸潤している。

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