日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題16

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設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
C

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
いずれも石灰化物を含む病変であり、非上皮性腫瘍 と石灰化歯原性嚢胞(最近のWHO分類では、腫瘍性格を示すことから歯原性腫瘍に含 めている)を鑑別する。骨セメント質形成線維腫(化骨性線維腫)で形成される石灰化物 は多様な形状を示す。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:骨セメント質形成線維腫
紡錐形の細胞が密集して増殖しており、炎症反応が認められないことから、線維芽細胞 の腫瘍性増殖(線維腫)を考える。この腫瘍細胞集団に混じって球状あるいは棒状の構 造物が散在している。これらの構造物は小窩に細胞を含んでおり、線維骨あるいはセメント 質粒に似ている。
B:骨セメント質形成線維腫
Aの組織所見と類似しており、球状の硬組織が互いに融合して複雑な形状を示している。 現在の腫瘍分類では、硬組織の形状の違いに基づく名称(化骨性線維腫やセメント質 形成線維腫)は用いられず、骨セメント質形成線維腫に統一されている。
C:石灰化歯原性嚢胞
ヘマトキシリン好染の球状物は石灰化物であるが、エオジン好染の大型の構造物は角化 により核が消失した幻影細胞(ゴースト細胞)である。これらの構造物は上皮組織内に散 在しており、線維腫(非上皮性腫瘍)に形成された硬組織とは異なる。
D:骨セメント質形成線維腫
線維芽細胞様の腫瘍細胞とともに、骨梁が連結している。骨質の内部では、 ヘマトキシリンに好染する休止線を認め、骨表面では骨芽細胞や吸収窩を造る 破骨細胞が並んでいる。線維骨から骨改造によって層板骨に置き換わっている。

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