日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題15

課題15-a画像 課題15-b画像
課題15-c画像 課題15-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
B

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
いずれの画像も細胞が疎らで、島状あるいは 索状を呈する上皮成分を示す。鑑別点としては、エナメル上皮線維腫では歯原性 上皮の胞巣構造と間葉細胞の増生が特徴であり、多形性腺腫の胞巣形態と間質 反応が鑑別の助けとなる。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:エナメル上皮線維腫
粘液様基質に富み、紡錘形をした間葉系細胞が増殖する中に、索状の歯原性上皮胞巣 が観察される。索状胞巣の辺縁では濃染する核を示す細胞が配列し、内部では星状細胞 を認める。
B:多形性腺腫
類円形の核を示す腫瘍細胞が索状、島状に存在している。その周囲では細胞間 に粘液がたまり、細い突起を伸ばしている(粘液腫様の変化)。腺管構造はみられ ないが、多形性腺腫と診断できる。
C:エナメル上皮線維腫
歯髄ないし歯乳頭を思わせる粘液様基質に間葉系細胞が増殖している。腫瘍上皮胞巣 は歯堤に類似し、その先端で球状に膨隆し、側方に分芽する特徴的な構造を呈する。
D:エナメル上皮線維腫
辺縁にエナメル芽細胞に類似した細胞の配列と内部にエナメル髄様の構造を示す エナメル器様の胞巣と、2-3層の細胞からなる索状の胞巣を認める。胞巣辺縁部 に均質無構造な硝子化帯がみられる。

問題を表示    次の課題


Copyright(c) 2005 NDU Pathology