日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題13

課題13-a画像 課題13-b画像
課題13-c画像 課題13-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
C

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
唾液腺腫瘍と嚢胞、特にリンパ球の集積を 特徴とするワルチン腫瘍と鰓嚢胞を鑑別する。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:ワルチン(Warthin)腫瘍
大きな嚢胞腔を形成しており、間質ではリンパ球が密集している。嚢胞腔を囲む 腫瘍細胞は腔内に乳頭状に突出した増生パターンも示す。嚢胞腔に島状に浮 遊しているのも、乳頭状に増生した腫瘍と間質の横断像に相当する。
B:腺様嚢胞癌
典型的な篩状構造。癌胞巣の周囲に空隙が見られるが、分泌物を貯留した 偽嚢胞にあたる。この癌腫も経過は長いが、末梢神経周囲に浸潤しやすく、 神経麻痺をともなうことが多い。
C:鰓嚢胞
嚢胞腔とリンパ濾胞をともなう嚢胞壁。唾液腺由来の病変には該当しない。 組織像の特徴はよく覚えておこう。
D:粘表皮癌
口腔粘膜の開口部付近から発生した癌胞巣。正常な唾液腺組織が写真左方 に残っている。癌胞巣では嚢胞腔の形成や、粘液産生細胞、扁平上皮様の 細胞などが共存している。

問題を表示    次の課題


Copyright(c) 2005 NDU Pathology