日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題12

課題12-a画像 課題12-b画像
課題12-c画像 課題12-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
C

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
3つの画像の共通点は発育性の嚢胞壁で、 上皮組織にバリエーションが存在することを示している。これら嚢胞壁の上皮と天疱瘡で みられる特徴的な基底細胞の配列とを鑑別する。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:嚢胞壁(鼻口蓋管嚢胞)
写真上方が嚢胞腔。嚢胞壁の組織構造は粘液を細胞質に貯留させた杯細胞を 有する多列線毛円柱上皮と密な膠原線維からなる結合織で構成されている。結合 織の炎症細胞浸潤は軽度である。
B:原始性嚢胞(あるいは含歯性嚢胞)
嚢胞壁は3-4層の扁平上皮と多数の拡張した毛細血管を含む結合織からなる。 嚢胞腔に面した薄い錯角化層をもつ上皮組織では、線毛構造は認められない。 結合織ではうっ血が目立つ。
C:天疱瘡
結合織上に規則正しく配列する基底細胞(墓石状の配列)が特徴である。 基底細胞より表層寄りの上皮細胞は細胞間の結合の低下により消失している。 結合織にはごくわずかの炎症細胞が浸潤している。
D:扁平上皮癌
嚢胞壁の内側は2-3層の立方上皮に覆われ、嚢胞腔に面して線毛構造が観察 される。基底層はほぼ平坦である。上皮下では密な線維性結合織からなり、わずか な炎症細胞浸潤とうっ血を認める。

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