日本歯科大学 病理学講座

鑑別診断課題3

課題3-a画像 課題3-b画像
課題3-c画像 課題3-d画像

設問1 4枚のうちでどれが異なるか? 
D

設問2 残り3枚の組織像で共通する特徴(病変・病態・分類など)は?
粘膜上皮と嚢胞壁の鑑別:いずれも重層扁平上皮から なる病変ではあるが、表皮の特徴から粘膜被覆と嚢胞内壁の違いを見分ける。 角化嚢胞では嚢胞腔に角化物が浮遊しているように観察される。

設問3 それぞれの組織像に最も適する病変の診断名は?
A:母斑細胞性母斑(接合性母斑)
有棘層の肥厚と上皮釘脚の下方伸長を示す重層扁平上皮に覆われている。基底層 内には小型均一で、胞体が明るいメラニン色素を少量含む母斑細胞が結節性の病 変を形成している。粘膜病変の一つである。
B:扁平苔癬
上皮直下のリンパ球の帯状浸潤、基底細胞の不明瞭化・液化変性を認める。上皮 層内にもリンパ球が浸潤し、細胞間隙の拡大が観察されるが、上皮細胞には異型 性はみられない。
C:白板症(過角化症)
角化層の著しい亢進を認め、その直下では顆粒細胞が数層にわたり明瞭化してい る。有棘層の肥厚と上皮釘脚の下方伸長を認める。基底細胞の配列には異常を認 めない。上皮下結合織ではメラニン色素の沈着を散見する。
D:歯原性角化嚢胞
角化物が表層から浮遊していることから嚢胞壁の一部であることがわかる。重層 扁平上皮と上皮下の瘢痕化した結合織からなる。炎症反応は認められず、上皮は 平坦である。なお、組織所見のみでは類表皮嚢胞とも診断できる。

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