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日本歯科大学図書館所蔵書より(第十九報)

 〜戦前に出版された歯科に関する語彙・用語諸書について(後編)〜

 

鹿児島大学名誉教授

日本歯科大学客員教授

島田 和幸

  

 前編の続きとして以下の書について紹介をする。

C アルバート・ウェルナー、岡田平八郎共著『歯科醫語辞典 独・羅・和』

 欧名では『ZAHNÄRZTLICHES WÖRTERBUCH Deutsch-Lateinisch-Japanisch』である。本書は昭和10年12月1日印刷され昭和10年12月10日に正価貳円にて東京本郷の萬國出版社より出版された。序文を正木正が記しており、その中より著者の一人であるAlbert Wernerは当時唯一の我が国での独文歯科雑誌の主幹であり、もう一人の岡田平八郎は東京高等歯科医学校の教員であったことが判る。記載内容はアルファベット順に単語が記され、それぞれの単語については各語の語源、単語の性名、単複数が略字で記されている。なお全388ページよりなり、本書の大きさは縱×横140o×80oの小型本である。

 

D 松田良身著『英羅和譯新歯科辞典』

 本書の欧英は『NEW ENGLISH-LATIN-JAPANESE DENTAL DICTIONARY』である。本書は昭和13年4月10日に印刷され、同年4月15日に東京牛込区の小桐商店より出版されているが、奥付によると非売品であることが判る。本書の序には日本歯科醫学専門学校校長の加藤清治の推奨の言葉が述べられている。本書は非売品であることから当時の日本歯科醫学専門学校の学生達の間で多く使用された書でないかと推察される。

記載内容については、アルファベット順に記されているが、本書を作成するにあたり参考文献にされた書籍を見ると歯科医学に関する用語以外にも著者自身が必要と考えた語はかなり含まれている様である。

なお全681ページよりなり、本書の大きさは縦×横192o×125oでこれまで紹介した書に比べると大きい書籍である。

 

E 奥脇要一著『歯科単語1000』(大学書林文庫203)

 本書の欧名は『1000 zahnärztliche deutsche Wörter. DAIGAKUSYORIN- BÜCHEREI』である。   

 本書の第一版は昭和13年6月20日に発行され、今回の書は昭和13年6月25日に出版の第二版であり、東京牛込区の大学書林より正価30錢で発売されていた。当時歯科医学もドイツ語が必要とされたために最低限必要な1000個の独単語をアルファベット順に記載された全54ページからなる歯科独語単語帳の様な簡易書である。本書の大きさは縦×横174o×106oで小さな書籍である。

 

以上、まだまだ多くのこの類の書籍は出版されていると思うが、今回、本学図書館で所蔵されていた歯科に関する語彙・用語の書を紹介した。

 

*図書整理番号(配架場所 地下2階):

 ・アルバート・ウェルナー、岡田平八郎共著『歯科醫語辞典 独・羅・和』

   (請求番号 D.03/W492/FW1478)

 ・松田良身著『英羅和譯新歯科辞典』 (請求番号 D.03/Ma74/FW2855)

 ・奥脇要一著『歯科単語1000』(請求番号 D.03/O 57/W35911)

(2017.10.2up)

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