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日本歯科大学図書館所蔵書より(第十四報)

 〜日本歯科醫學専門學校出版部發行の講義録について〜

 

鹿児島大学名誉教授

日本歯科大学客員教授

島田 和幸

 

口腔外科学

(新井千代之助述)

歯科治術学

(森平謙太郎述)

歯科技工学

(鈴木復三述)

  講義録出版の目的については本学60周年記念誌によると校外生に対して、会費を毎月一円を分納させ、全18回の歯科医学講義を自学自習することで学力を実に着けさせる目的と、全講義録を購読しかつそれらの各科目の試験に合格して、修業と認定された場合は専門学校夜学部2年に編入することができる特典を与える制度に使用された教科書である。そこで今回はこの様な目的の為に出版、使用された講義録に関して調査を行ってみた。

 現在、本学図書館に所蔵されている講義録としては基礎医学の解剖学系では『系統解剖學 全』1)、『胎生學 全』2)、『人體組織學 全』2)で、これら三冊のすべては二村領次郎述書である。口腔解剖系は『歯科組織・歯牙解剖學』3)で新井千代之助述である。病理系は『病理學総論 全』4)で丸山忠治述と『歯科病理學』5)は志賀三亥述の二冊がある。外科系では『外科総論』4)が加茂木蔵之助述、『口腔外科學』3)は新井千代之助述であった。細菌学は『口腔細菌學』6)が丸茂猛述、薬理学は『歯科薬物學』7)が岩川克輝述、永澤盛 補である。歯科系の専門系科目としては『歯科治術學』8)が森平謙太郎述、『歯科技工學』9)は鈴木復三述、鈴木俊樹 補、『材料治金學』9)は鈴木復三述、永澤盛 補である。化学と物理学の内容についての講義録は『理化學總論 全』7)で高橋学而述であった。以上の科目以外に『生理學』10)、『口腔衛生學』、『歯科矯正學』、『継続架工術』11)等の書については出版されていることは確かな様であるが残念ながら本学の図書館には所蔵されていない。

 今回は、本学の醫學専門學校時代に出版部より発行された講義録の出版年度に関してはすべての講義録に奥付けの記載が無いので各冊に関する正確な出版年度を確認することはできなかった。しかし今回の調査より講義録の正式な書名、著述者名、補述者に関しては確認することができた。次にそれらの書の記載内容について検討をおこなった。これらの講義録の述者らは当時の各科目の第一線の教育者であり、記載内容も当時としての最新の知識が盛り込まれかつ購読者に解り易く記述された書であり、当時の歯科医学教育内容の歴史を知るうえでも貴重な書籍であると考えられる。ただすべての講義録が本学図書館に揃っていないことは残念である。

 

 

60周年記念誌と原本とで書名が異なる図書もあります。

*図書整理番号(配架場所 地下2階):

  1) 「系統解剖學」 D.11/F 97/28921

  2) 「胎生學/歯牙組織學/人體組織學/歯牙解剖學」 D.11/F 97/28920

  3) 「口腔外科學/歯牙組織学/歯牙解剖學」 D.3/A 62/28919

  4) 「病理総論/診断学/外科學総論」  QZ..4/Ma59/1484

  5) 「歯科病理學」 D.14/Sh27/1483

  6) 「口腔細菌學」 D.15/Ma55/1350

  7) 「歯科薬物學/理化学総論」 D.16/I 93/1500

  8) 「歯科治術學」 D.2/Mo48/FW3375

  9) 「歯科技工學/歯科材料學/歯科冶金學」 D.59/Su96/28928

 

*国立国会図書館デジタルコレクション

 10) 「生理學」

 11)「継続架工術(歯冠継続及架工學)」

(2017.3.24up)

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