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日本歯科大学図書館所蔵書より(第十報)

 〜Edward Hartley Angleの著書について〜

 

鹿児島大学名誉教授

日本歯科大学客員教授

島田 和幸

 

 Angleは1855年6月1日に米国New York州のHerricksで生まれ1930年8月11日に75歳で死去している。

彼はペンシルバニア歯科医学校を卒業後、一時は開業医として働くが、1886年に新設のミネソタ大学歯学で組織学、歯の比較解剖学や矯正学について研鑽しその後彼自身の歯科矯正学の理論を確立したり矯正学の手技法を考案した。それらの結果を彼は多く報告したがその集大成として1898年に「TREATMENT OF MALOCCLUSION OF THE TEETH AND FRACTURES OF THE MAXILLAE. ANGLE’S SYSTEM」(「歯の不正咬合と上顎骨折の診療法・アングル法」)を出版した。今回紹介する書は第6版本が本学図書館に所蔵されている。大きさは150×230o、全305ページであり、本文中の説明図は299枚よりなっている。本書は米国フィラデルフィアのTHE S.S. WHITE DENTAL MANUFACTURING COMPANYより出版されている。

本書の記載内容は大きく二つのPARTに分類されている。その最初のPARTTは矯正学分野でありその中を更に22章に分類している。まず咬合論、顔の美、不正咬合の原因、不正咬合の分類と診断、歯槽骨と歯根膜、その後は実際の印象法やアングルの手法が第6章から12章に、そしてその後の章には手術法や歯牙の移動などが記載され、12章から22章は実際の手法やアングルの分類方法による矯正処置方法やアングル自身の考えが述べられている。そしてPARTUでは下顎骨の骨折時における咬合回復の処置などが述べられている。

本書の中でも特に第4章p34-44は上顎歯列弓を基準に近遠心的関係から正常咬合、下顎の遠心咬合、下顎の近心咬合に分類した記載が記されている章である。アングル分類についての原典である。歯科医学を学ぶ際には必ず学ぶアングルの原本が本学図書館に所蔵されているので、是非一度は読んでいただきたい書である。

 

*図書整理番号:

  ・D.6/A589/169 地下2階貴重書

  ・復刻版 D.6/A589/10227 地下2階貴重書

(2016.5.6up)

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