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日本歯科大学図書館所蔵書より(第八報)

 〜『The natural history of the human teeth』について〜

 

鹿児島大学名誉教授

日本歯科大学客員教授

島田 和幸

 

 本書は日本語のタイトルで云えば『ヒトの歯の自然歯』と言える。本書と同様のタイトルとしてはイギリスのJohn Hunterによる同名書もあるが本書はHunterの書と比較するとHunterの書よりも知名度は低い。著者であるJoseph Foxに関する記録の詳細はあまりよく判っていないが1776年に生まれて1816年に死去していることは調べることが出来た。Foxはロンドンの外科医師としてRoyal Collegeのメンバーであり、またパリの医師会のメンバーでもあったことが本書の表紙より知ることが出来る。本書は縦×横275×220oの大型判の本であり、全92ページ及び13枚の銅版図より構成されている。出版社はLondonのThomas Coxで印刷されている。記載内容としては全11章より成っている。第1章:乳歯群の形成、第2章:永久歯群の形成、第3章:歯の形成様式、第4章:歯の萠出交代、第5章:歯の不正配列、第6章:歯の不正配列の予防処置、第7章:歯の不正配列の治療法、第8章:過剰歯、第9章:乳歯のカリエス、第10章:生歯に伴う疾患、第11章:Pepys氏による歯の化学成分分析などが記載説明されている。図譜としては図1:歯槽突起の原基と歯髄、図2:出生時から2〜3年の歯の形成、図3:4〜5才児の歯、図4:6才児の乳歯と永久歯、図5:8〜9才児の歯の萠出、図6:図3〜5の線図、図7:永久歯について(一部乳歯)、図8:各永久歯の断面図と異常歯、図9:注入標本図、図10:乳歯から永久歯への変化、図11:不正配列図、図12:乳歯及び永久歯の不正配列、図13:過剰歯による不正配列について、以上の13図が美しい銅版図で画かれている。

 以上が、Foxによる彼のGuy’s Hospitalでの外科医を対象として歯科医学を行った際の講義をまとめて一冊とした図書である。なお彼は続編として“The history and treatment of the disease of the tooth, the gums, and the alveolar processes”も1806年に出版しているが本書に関しては別の機会に紹介する。今回、紹介したFoxの歯科医学書も現在では貴重図書であり、あまり多く紹介されていないようであるので紹介しておく。なお本書は日本歯大図書館には本書を含め2冊蔵書している。

 

*図書整理番号:

  ・D.1/F792/F421, F472 地下2階貴重書

(2016.3.7up)

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