ホーム>Fujimiア・ラ・カルト1

 

生命歯学部歯周病学講座の臨床への取り組み

 

  歯周病学講座准教授  伊藤 弘

 臨床系講座として、以下の二点はその存在価値を示す大きな根幹であることに異論はないでしょう。

  @  高度な知識・技術を有した臨床医の育成

  A  研究のための研究ではなく臨床へフィードバックできる研究の遂行

 

写真1

ブタ下顎骨です。グロテスクですが、まずはこれで新人は実習します。

 

写真2

東京都卒後研修会で、筆者がブタ下顎骨を用いて実演を行っている様子です。

 

写真3

発生・再生医科学講座との合同開催です。左より筆者、沼部幸博教授、中原 貴教授

 今回は、我々講座の取り組みを、特に@に関して紹介したいと思います。優れた臨床医の育成は、ベースとなる知識が必要です。まずは、“国家試験前までの知識 ≠ 臨床での知識”であることを、文献的に学ぶことから始まります。しかし、いくら知識があったとしても、チェアサイドで正確な診査・診断の遂行と、各患者様に最も理想的な治療方針を提供できる素早い機転も必要です。また、患者様に満足していただけるだけの技術がなければ、ただの“かたりべ”で終わってしまいます。我々は、歯周治療に必要な知識・技術の研修として、毎週火曜日の午前中を用いて、大学院生・聴講生を中心として勉強会を行っております。特に、診療技術の向上として、当講座は先代の鴨井久一教授・岡本浩助教授の時代に全国で初めてブタ下顎骨(写真1)を用いた研修を展開して、現在も継続中であります。昨年9月には日本歯科大学初となるハーヴァード大学との合同研修における日本での研修でブタ下顎骨を用いて、受講生から非常に高い評価を得ております。また、日本歯科大学校友会・東京都歯科医師会の要請にて、頻回にブタ下顎骨を用いた研修を開催し(写真2)、一昨年は我が歯周病学講座と発生・再生医科学講座との合同開催を行っております(写真3)。当然、ブタで上手く実習がいかなくては、臨床で上手く遂行はできません。新人は、スキルラボ・スケーラーのシャープニングを経て、何度となくブタと格闘し、ようやく指導医のもと診査・診断・口腔清掃指導・PMTCが行えるようになります。そして、スケーリング・ルートプレーニングを経験の後、指導医の下、歯周外科手術を行います。本講座では、日本歯周病学会が認定した指導医が3名在籍しており、現在まで5名の認定医を輩出しており、今後も認定医が増加していくことが予測できます。このように、臨床系である本講座は、臨床と研究とのバランス感覚を大切にして活動を行っております。興味のある方は、是非歯周病学講座の門を叩いてください。

 

追加

 古く絶版となった図書ですが鰹送ムから “カラーアトラス実地歯周外科”が出版されました。自分が学生時代歯周病学の講義での教科書として購入しましたが、当時はその画期的な発想は理解できませんでした。ブタ下顎骨の実習と臨床との同時編集であり、古い感は否めませんが、初めてブタを操作する方には非常に参考となる図書です(図書館にはあります)

 

 *図書館記: 鴨井久一・岡本浩著. カラーアトラス実地歯周外科  書林. 1982 194 p.

   分類番号 D.43/Ka41

(2013.3.18up)

Topへ