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ハーバード大学留学記

 

  生化学講座助教  前田 元太

図1  ハーバード大学医学部講堂

平成22年4月から平成24年3月までハーバード大学医学部ベスイスラエルメディカルセンターに研究留学してきました、その紹介をしたいと思います。

平均年齢26.5歳!学生の町ボストン

ボストンにはハーバード大学をはじめ、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ボストン大学(BU)、タフツ大学、バークリー音楽院など数多くの教育機関があります。そのため人口60万人のうち30%を学生が占めるとても若い人が多く活気に満ちた街です。

図2  Fenway park

ロブスター、クラムチャウダーなどの海産物、野球選手の松坂大輔、岡島、田沢など日本人選手が多数在籍したレッドソックスが有名で日本人にも馴染みが深い街でした。

運営資金4兆円?ハーバード大学

ハーバード大学は1636年に創立された私立大学で、オバマ大統領を含め8人のアメリカ合衆国大統領や、75人のノーベル賞受賞者を輩出しています。最大の特徴はその巨額の運営資金にあり、潤沢な資金を背景に学業や研究に専念できる最高の環境を提供しています。海外から来たポストドクター(博士号取得後)のための映画鑑賞会も催してくれ、その際はビールやポップコーンなど無料で提供していたため、ラボメンバーと一緒によく視聴しに(飲みに)行きました。

ハーバード大学医学部で一番若い教授、Prof. Raghu Kalluriの研究室

     図3  ラボメンバー

(筆者:右手前、Prof. Kalluri :左手前)

図4  2010年ワールドカップのとき

留学先の研究室は10数カ国から30人以上が集まり、世界最高峰の論文を年に何本も出すところでした。Prof. Kalluriは年間の1/3は海外講演や学会に出ている多忙な方でしたが、ラボにいる時は研究ノートを1ページ1ページ丁寧に話を聴きながら確認してくれ、兄のような存在だったと思います。また、留学した年はちょうどサッカーワールドカップの年にあたり、日本と同じグループであった、オランダ、ベルギーの仲間と共に試合を観戦したのもいい思い出です。

癌周囲組織が癌転移に与える影響

留学先での研究テーマの一つは癌の周囲組織が乳癌の転移に与える影響でした。血管の周囲に周皮細胞(ペリサイト)と言う細胞があり、通常は血管の維持や血流の調節などをしています。しかし、癌性血管におけるペリサイトの働きは分かっていません。そこで我々はペリサイトと癌の転移について調べ、ペリサイトが癌の転移を抑制する重要な因子であることを見つけました(Cancer Cell 21, 66–81, January 17, 2012)。

謝辞

大学も日本歯科大学、大学院も日本歯科大学、父も日本歯科大学の私が世界でも有数の大学に留学し、すばらしい経験を積むことが出来ました。これはひとえに中原泉理事長学長先生をはじめすべての日本歯科大学の先生方の教育、そして事務の方々のおかげです。ありがとうございました。

(2013.2.15up)

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