1.はじめに

 昨今、医学図書館・薬学図書館において従来ほとんど重要視されてこなかった「顧客満足(CS)」や「快適性(Amenity)」という概念を、日常業務で常に意識し実行しなければならない外圧が忍び寄っていると感じている。

 予算削減やアウトソーシングなど図書館を取り巻く環境が厳しいにも関わらず、図書館の役割、必要性を利用者や設置母体に向かってPRしている例は残念ながら少ない。また外部に向かって図書館員の専門性を声高に主張することも、なぜか遠慮してきた。利用者から見える閲覧業務を氷山の一角とすると、利用者から見えない多くの図書館業務によって閲覧業務を支えていることになるが、図書館はこのような業務の必要性を利用者や大学理事者等に対して効果的にプレゼンテーションできるだろうか。

 一般企業であれば、経営者に対して業務の必要性と費用対効果を上手に説明し、消費者には適切な広報手段を駆使し、いかに有益なサービスが可能になるかアピールするであろう。図書館活動と企業活動と比較することは稀であり、図書館は自らの役割の重要性やできることをあまりにも外に向かって発信してこなかったといえよう。

 

2.利便性向上の必要

 図書館には「知る人ぞ知るサービス」があるように思うが、それは図書館のPRが下手であり、利用者はわからなければ図書館員に聞いてくるだろうという奢りもあったかもしれない。図書館では利用者の不満を真剣に検討し研究されてきたとはいえない。また図書館では館内の環境や接客姿勢に無頓着すぎる面が見られ、利用者が声に出さない不満を皆さんも感じていないだろうか。アンケートを実施し満足するのではなく、利用者の立場にたった図書館員の感性やプロ意識により、資料面のみならずまだまだサービス向上がはかれると思われる。

 そこで筆者は図書館において「顧客満足」や「快適性」を図書館に導入したいと考えた。

「図書館の専門力」とそれを理解してもらう「宣伝力」は車の両輪であり、一方がかけては充分に図書館を利用してもらうことはできないはずである。

 しかし図書館には図書館の専門性があり、限られた人材と予算で企業の真似をするわけにはいかない。しかしサービス業に見られる専門性の姿勢を学ぶことは図書館でも可能である。サービス業にはサービス業の専門性があり、図書館サービスも純粋で独自のものばかりではないと思ったところから、様々な専門分野の研究成果やサービス業のノウハウを積極的に取り入れることが可能かどうか探る試みを行った。1999年〜2000年の2年間に渡り21人の講師を招いて開催した『図書館のアメニティーを考える』と名付けた勉強会の成果を交え、図書館利用者の利便性向上の必要性を提言したい。