第32回日本歯科心身医学会総会・学術大会

特別講演Ⅱ

姿勢と顎関節症
Relationship between posture/attitude and TMD

丸茂 義二 先生  Yoshitsugu Marumo
日本歯科大学 Nippon Dental University

 顎関節症は歯科医療の治療対象の一分野である。しかしながら一般歯科医にはこれほど理解の難しいものはないと思っている。症状の7割は自然治癒すると言われるものの目前の症状について明確に説明することができない。実際には患者は目前で困っているものの診断が困難である。それは病態としての三徴候が単純である割には原因が複雑を極めているからである。そこで顎関節症という疾病というよりも顎関節症を発症するヒトという視点で取り組んで見ると新しい見方で患者を診ることができるものと考えている。
 感染症は宿主に対して外来性の細菌やウイルスが侵入して疾病が成立する。この時に宿主の抵抗力はその侵入を防ぐには大きな壁となっている。宿主の抵抗力が充分にあれば風邪もひかないしインフルエンザもどこ吹く風である。この宿主の抵抗力という基本的な考え方は顎関節症という疾病にも当てはめて考えることが必要であると思っている。
 顎関節症は疾病であるから、本来は一生罹患することなく経過するのが当然である。しかし、顎関節症に罹患する患者を診ていると、いろいろ気に障ることが多い。それは患者の姿勢や生活習慣が余りにも目に余ることが多いからである。生活習慣とは飲食物の量や内容、運動や仕事時の姿勢やお行儀、寝具や家具の使用法、心の在り方まで含まれる内容を精査して見ると、宿主としての抵抗性に関わる領域での問題点が多数見つかる。こういった患者自身の改善が必要な部分と、交通事故やアクシデント、医療の影響など、本人に原因を帰趨することのできない種類の病因がある。
 顎関節症患者には初診時に症状の病歴や他科受診などの様々なアンケート調査をするが、その中で患者の生活習慣に関する159個の質問事項がある。CMI健康調査票で分類すると、領域の高さと不良生活質問のはいの数が相関して高くなる。この症状に関わる不良生活習慣と身体の姿勢や心の姿勢について述べてみたい。

略歴:
1980年 日本歯科大学卒業、
日本歯科大学大学院歯学研究科補綴学専攻
1984年 歯学博士取得、日本歯科大学補綴学第二講座助手
1988年 日本歯科大学補綴学教室講師
2001年 付属病院顎関節症診療センター初代センター長
2004年 日本歯科大学付属病院助教授
2005年 日本歯科大学東京短期大学教授
2010年 日本歯科大学名誉教授

研究テーマ:
1. 「咬合が全身に及ぼす関係」
2. 「全身が咬合に及ぼす関係」
3. 「顎関節症の治療」
4. 歯周疾患の成り立ちと治療
5. 機能的総義歯の製作
6. 人工歯の形態と機能

所属学会:
1. 日本補綴歯科学会 認定医・指導医
2. 顎関節学会会員 認定医・指導医 その他