第32回日本歯科心身医学会総会・学術大会

教育講演Ⅰ

診療ガイドラインの過去、現在、未来
Past, current, future of clinical practice guidelines

豊島 義博 先生  Yoshihiro Toyoshima
鶴見大学探索歯学講座 Tsurumi University School of Dentistry Traslational Research Dentistry

 EvidenceBasedMedicine(EBM)という言葉は、1991年にゴードン・ガイアットが米国内科学会誌に投稿したコラムに初めて登場した。臨床疫学に加えてPC検索を追加し、EBMという言葉を用いた。同年イアインチャーマーズは英国で最初のシステマティックレビューを発表し、翌年英国コクランセンターを設立した。インターネットの元年に始まった動きである。今日、ただ一つの論文だけで臨床判断ができる事は、稀である。エビデンスを統合したシステマティックレビューや、診療ガイドラインが過去20年間では激増した。これら無くしてエビデンスの是非は言えない。
 当初、エビデンスの質は研究デザインで判定し、格付けしていた。この考え方は、日本の診療ガイドラインの作成基準となった「Mindsの診療ガイドライン作成の手引き2007」などに利用された。EBMの提唱者ガイアットを中心に、GRADE: Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluationという活動が2000年ごろより始まった。GRADEは、エビデンスの質を研究デザインだけでなく「アウトカム重視」で評価するように、検討した手法である。「研究デザイン中心の評価から、患者にとって重要な意味のあるアウトカムを重視した評価へ」というのがEBMのこの10年の変遷である。診療ガイドラインの作成方法の変化と、今後の展望を紹介したい。


略歴:
1979年 東京医科歯科大学 歯学部卒
同年  第一生命保険相互会社入社 歯科診療、保険商品開発 など
2013年 第一生命保険株式会社  定年退職
1998年 よりEBM WSに参加し、現在まで運営などを手伝う